山形県神社庁

鳥海月山両所宮「穀様し」神事

2012年10月21日

山形市の鳥海月山両所宮(中野俊助宮司)では九月五・六の両日、来年の穀物や野菜の作柄を占ふ「穀様し」が斎行された。

この神事は、土中に埋めた穀物(粟穂・稲穂・大角豆・茄子・胡瓜・御飯)を掘り起こし、腐敗度を見て来年の作柄を占ふもの。『出羽風土記略記』にもその記述が残る。古くは旧暦六月三十日の夕刻に前年に埋めた穀物を掘り起こす神事(開く神事)、同七月朔日の早朝に新しい穀物を埋める神事(休める神事)をおこなっていたが、現在では宮司が吉日を定め斎行している。

 穀物を埋める穴は、1m四方・深さ80㎝。紙に包んだ穀物を五カ所に埋め、その上に直径30㎝の河原石を載せて土を被せ、切石の蓋を二重にし、最後に高さ4mの梵天柱を立てる。

 

  五カ所に埋められた穀物は、それぞれ中央が山形、北西隅が庄内、南西隅が米沢、北東隅が秋田、南東隅が仙台地方の作柄を占ふとされ、さらに各穴に溜まる地下水の量によって、各地方の灌漑用水の過不足も占う。

五日の「開く神事」は、午後三時から執りおこなはれ、中野宮司が祝詞を奏上し、願文を読み上げた後、境内の穀様し場に移動。白水干に襷掛けの神職が穀物の上にある「梵天柱」を抜き取り、土を掘り起こした。川原石が出てきた段階で中野宮司が穀物の腐敗度を見て作柄を占った。

結果は、各地方とも作柄は例年並みで、灌漑用水は若干不足気味との結果が出た。この結果は木版表に書き入れてお神札とし、関係者に頒けられた。

翌六日の午前八時からは、来年の豊作を祈る神事を執りおこなったあと、新しい五穀を穴に埋め、参列者全員で朝食の鰊を食べた。

かつては市内を流れる馬見ヶ崎川の水量も豊富だったが、現在では水位も低く、また、五穀の腐敗度も以前とは異なってきているが、農業に携はる人々にとっては大切な神事となっている。

寄稿 T.K