風祭・風神祭
2013年9月1日
今年の9月1日は二百十日。二百十日とは立春から数えて二百十日目に当たる日で、この日は民間では風の厄日などとも呼ばれ雨風(台風)の災いが多いとされ、昔から農作物に対する被害が無いよう祈る神事が行われます。
今回はこの風雨にまつわ神事を、200戸ほどの集落ながらも、地域を上げて継承する2つの集落を紹介します。
沢畑風祭(河北町谷地沢畑)
西村山郡河北町谷地の沢畑(さわばた)は、出羽丘陵の東、葉山の麓に発達した集落です。
二百十日を前日に迎えた8月31日の夕刻、恒例の『沢畑風祭』が行われました。この祭礼は沢畑の鎮守・月山神社(小野正徳宮司。地元では「おつきやま神社」と呼ばれています。)の神事として受け継がれています。ここで地元若衆で組織する沢畑風祭太鼓保存会によって『沢畑風祭太鼓』が奉納されます。
本年、沢畑風祭太鼓保存会は「第27回文化財愛護川崎浩良賞」を受賞されました。
沢畑は上組・下組に区分され若衆組も双方に組織されています。夕刻、上組は公民館から、下組は弥富子地蔵堂から、高張り提灯、弓張提灯の隊列を組み「道中太鼓」を打ちながらそれぞれの町内を進みます。
上組と下組の境で落ち合い「寄せ太鼓」の勇壮な打ち合いを行います。これがすごい迫力で、お互いに負けまいとすさまじいうち合い合戦になります。その後上・下一隊となり「道中太鼓」を打ちながら鎮守・月山神社へ。到着後、再び「寄せ太鼓」の打ち合いを奉納します。
南西の風を好まない地方では「葉山おろしは音ばかり、朝日(朝日岳)おろしは雨が来る」の言葉があります。沢畑風祭太鼓のリズムは、雷が大雨を呼び、やがて嵐が東に去っていく様子を表していると云われています。神々に対する悪しき風、荒き水の災い無く、五穀豊穣、村内安全の切実な祈りが、自ずと力強くなるバチさばきに表れます。
沢畑風祭太鼓は自然の風土に育まれた若衆の手で受け継がれ、地域を上げて守られていきます。
大谷風神祭(朝日町大谷)
西村山郡朝日町大谷に鎮座する白山神社(豊嶋 宏行宮司)では、8月31日の夕刻に『大谷風神祭』が行われました。
この『大谷風神祭』は、稲を始めとする農作物に風雨の災いが無く、天候の順調と五穀豊穣を祈る風祭りです。大谷集落では、250年前の宝暦年間に始められたと云われています。
午後6時過ぎに白山神社に到着すると、社殿では神事が斎行されているところでした。神事が執り行われる間、境内では県無形文化財角田流獅子踊の奉納の他、囃子屋台などで行列に参加する氏子の皆さんがお参りに訪れていました。
神様が御神輿にお遷りになられると、午後7時に子供達の田楽提灯を先頭に猿田彦命、御神輿、角田流大谷獅子踊、各地区の屋台の御神輿行列の御巡幸がはじまりました。地区内を御巡幸している間は花火が何発も打ち上げられ、お祭りに彩りをそえていました。大谷地区は200戸ほどが6区に区分され、それぞれが唄や踊り、寸劇の出し物を数か所で演じますが、それもこの祭の花火とともに見どころとなっています。
村山通信員 S.H