新庄市黒沢地区の山の神勧進
2012年1月23日
日本全国に山の神が祀られる神社がありますが、山の神勧進の神事をご存知でしょうか。
最上地方には今でもこの神事がところどころで受け継がれておりますが、今回はその中の一つである、新庄市黒沢地区の山神社、山の神勧進を紹介いたします。
この神事は、地区内の子供たちが地区内の家々をまわり、山の神の御神徳による村内繁栄、豊作、家運隆昌を祈り、勧進してまわる神事です。
平成23年は12月10日、11日の両日に行われました。毎年12月12日に近い土日に行われているようです。
初日の朝はお社の掃除から始まります。この神事で奉仕するのは地区の小、中学生の男子で、これは山の神が女神様であるからです。
子供たちの内、中学生が大将と呼ばれ、彼等は中心となって運営します。
その大将の中でも一番大将、二番大将、三番大将と順位があり、年長者から順になり、一番大将が神事のすべてを取り仕切ります。掃除が済むと、オサイト(御祭燈)のための藁集めに地区内の農家に向かいます。
農家はこの時のために藁を準備して協力します。
夕刻、地区の大人たちは山神社にお供え物を持って参拝に来るが、それをお神酒で接待するのも大将たちの役目です。大人たちの参拝が終わるとオサイトに火を点し、それは山の神へと捧げる巨大な燈明となります。
大将たちは夜に地区内の公民館など、一か所に集まり、朝まで籠ります。翌日、神社に納められている木製の御神像を一人二体もち、一番二番両大将は真綿に包まれた大きな御神像を一体持って地区内の家々を一軒一軒回ります。家の玄関で子供たちが唱え言葉を数回唱えると、住人は賽銭、米、餅などをお供えします。お供え物を集めながら回ります。
黒沢地区の唱え言葉
山の神の勧進
米だら一升 餅だら十二 銭だら四八文
祈って給れや亭主殿
この家の身上登るよに 登るよに
銭やら金やらたまるよに たまるよに
この唱え言葉は地区により違いますが神事の意味合いは似ています。
「現在、過疎や少子化により山の神勧進を行う地区は少なくなっており、存続も年々難しくなっていくものと思はれますが、近年は大人も手伝うなど少しずつの変化もあるが、神事を存続させたいという意見が地域の考え」
こう語るのは地域住人である小野和也さん。
最上通信員 M・O