大黒様の御歳夜
2018年12月22日
七福神の一つにも数えられ、頭巾をかぶり、打出の小槌を持ち、大きな袋を背負う姿から商売繁昌の神様として名高い大黒様をお祀りする御歳夜(おとしや)が、毎年12月9日に県内北部で広く行われております。
御歳夜とは神様の年越しのお祭りで、大黒様の嫁取りの日ともいわれております。
子孫繁栄の神様でもある大黒様をもてなし、大黒様にあやかって来年の商売繁昌・五穀豊穣・家庭円満・子孫繁栄を祈願します。
神社の祭ではなく、各家庭でお祀りします。
各家庭で祀り方は様々ありますが、一例をご紹介いたします。

床の間や神棚周辺に大黒様の掛軸や御神像を祀り、ごちそうをお供えします。

豆尽くしのごちそうです。
「まめ」は「忠実(まめ)」に通じ、元気とか子孫繁栄の意味が込められております。
豆ごはんに納豆汁、豆腐田楽、ハリハリ漬、数の子醤油漬、豆なます、そしてハタハタ田楽。
ハタハタは「鱩」と書き、冬の荒れた日本海で雷が鳴る頃、産卵のため岸に寄ってくることから、雷様の魚ということで「鰰」とも書きます。
ブリコと言われる大量の卵を抱えているため、子孫繁栄の意味があります。
ハタハタは昭和期にはは大量にとれる大衆魚として、湯上げなどにして大変好まれました。
しかし、海水温度の上昇や環境変化なのでしょうか、最近は漁獲量が減り、高級魚になってしまいました。
水分が多いため、なかなか火が通らず、大黒様の日には魚屋さんは朝からハタハタを焼くのに一日中大忙しとなります。

スルメとまっか大根もお供えします。
スルメは寿留女とも書いたり、アタリメ=当たり目とも言います。
まっか大根は二股の大根のことです。
昔々、餅を食べ過ぎた大黒様はお腹が痛くなり、川で大根を洗っていた女の人に消化を助ける大根を一本分けて欲しいと頼みました。
しかし、この大根は旦那様に上げるものでお分けすることは出来ませんと、断られてしまいました。
困った大黒様でしたが、その女の人は近くの畑から二股に分かれた大根を掘ってきて、その片方を大黒様に、もう片方は旦那様に差し上げました。
大黒様はその大根を食べ腹痛が治り、女の人も旦那様に大根を差し上げることが出来たので叱られることはなかった、めでたしめでたし、というお話があります。
また、先が分かれているので末広がりの意味があります。
このように、商売繁盛・子孫繁栄を願いお祀りする習慣が今でも続いております。