山形県神社庁

13歳からの道徳教科書

昨年3月11日大地震が起こり巨大津波を引き起こしました。さらにあろうことか原子力発電所の事故を誘発しました。
後に「東日本大震災」と名付けられたように、日本の将来を左右するような未曾有の大惨事であります。

あの大地震に遭遇した一人一人がとった行動が、世界中の人々から驚かれ賞賛されました。

外国であれば、必ずと言ってもいいほど暴動が起き、商店からの略奪が頻発するのだそうです。

しかし、ほとんどの日本人はそのような卑劣な事は考えもしませんでした。

被災された人々が、わずかな食料を皆で分け合っていながら不満を口にすることもなく整然と並んで、老人や子供や弱者を優先させていた姿が報道されていました。

厳しい避難所生活にも関わらず助け合いの精神を忘れなかったのです。
非常事態に陥った時に、平静を保つことはとても難しい事です。日本人は、長い時間をかけて先人から受け継いできた規範意識というものが生まれ、相手のことを思いやったり規律を守るという潜在的な意識が育っていたのでしょう。

 

戦後の日本は、自国の歴史を「差別社会」であり「搾取する権力と虐げられた民衆」として捉えられ、

「悪」とされてきました。そして、戦後の自由と経済成長が「善」であり、伝統文化や歴史を軽んじる傾向が強くなっていました。

「責任=公益」が忘れ去られ「権利=個人主義」だけが横行するような世の中となっています。

 

とりわけ将来を託すべき子どもたちの教育現場で毎日教えられていることは、「国」「国民」という概念は意図的にはずされ、「市民社会」「地球市民」という訳のわからない不可思議な概念を植え付けられています。(大人のまったく知らないとところで)

 

偏向教育を憂慮した心ある人々が「このままでは日本が溶解して行ってしまう」と危機感を抱かれ、「道徳教育をすすめる有識者の会」を発足され、標題の道徳教科書を出版されました。

代表世話人を勤めておられるのが我が郷土出身の渡部昇一先生であります。先生は前文で「道徳教育の一つの道は、私たちが「美しい」と感ずるような話を子供たちに伝え(中略)特に日本人の行った素晴しい行動を子供たちに伝えるべきでしょう。」と書いています。

その概要は、第1部「しっかりとした自分」~第5部「誰かのために」まで、37名の方の文章が掲載されています。

その中で、第4部「公」と「私」の章の23番目に「村に来た人たち」と題し鶴岡市出身の直木賞作家藤沢周平先生の文章が掲載されています。

先生は「人はなぜ、人をいじめたりするのだろう。そもそも人間とは何者だろう。私は凝然とそういうことを考え続けるのである」と結んでいます。自分の少年期の原体験を赤裸々に綴られ、差別や偏見をもってはいけない事を教えています。

 

多くの皆様にお勧めしたい一冊であります。

 

版元「育鵬社」1200円
当神社庁でも取り扱います

筆者

荘内神社 宮司 石原純一